東郷青児

 

                  



恋多きモダンボーイとして昭和を駆け抜けた画家・東郷青児。
アンニュイな女性像で一世を風靡した彼が、文章の名手でもあったことを知っていますか?

本書は大人の読者に手にとっていただきたい
すこしばかりエロティックでスノッブな、東郷青児のもうひとつのprofil(横顔)です。

少女たちと奇妙なラブアフェアを繰り返すショートストーリーを筆頭に、
「義手義足空気人形」「三日月に腰掛けた恋愛陶酔 Mellow and merry」など
長らく人目にふれることなく眠っていた、単行本未収録の貴重な詩やエッセイも収録。
“東郷のことば”をテーマにした初めてのヴァラエティブックとなりました。

戦後から高度成長期という“日本の夏の時代”に書かれたこれらの文筆作品は
世間の思惑などどこ吹く風といわんばかりに自由奔放でアンモラルでありながら、
夏の思い出のように不思議な明るさと、なぜか胸を締め付ける切なさを秘めています。

さらに、以前より著書などで東郷の文筆作品のファンであることを広言されていた
音楽家の小西康陽氏による「恋愛を人生の総てと考える人々」という素晴らしい序文も掲載。

絵画作品の甘い感傷から一歩踏み込んだ、軽やかで洒脱なことばの世界にたゆたいながら、
ぜひ、戦前の銀座や古き良き時代のパリをふらりふらりと散歩し、
モダンガールとカフェで文学や映画を語らい、恋や人生に想いを巡らせてみてください。

 

2018年3月9日発売 四六判/256ページ/ハードカバー/本体価格2,400円/創元社
ISBN:978-4-422-93078-7

 

 

【寄稿】小西康陽「恋愛を人生の総てと考える人々」
常若の乙女

【1】
四つ葉のクロバ
窓から飛下りた薔薇
あつけないラブ
星のハウス
よるとひる
安南娘アンドレ
窓のない女
チョコレート
昼と夜
桃色クラブ
へれんの家
女と花
ぺてるとさぼてん
兄と妹とサボテン
カルバドスの唇 ——恋愛的漫歩——
義手義足空気人形
三日月に腰かけた恋愛陶酔 Mellow and merry
東京の女
【2】
夢二の家
外国貧乏
ニースの金髪
伝書鳩を運動させる紳士
金魚

マネキンに惚れる
しろとのもでる
春とモデル
食慾は恋愛の絶縁体である
春と花
少女三題
マリイ・ローランサン
ニースの太陽
京都
あの頃、この頃
風変りの恋愛

あの娘

【解説】 野崎泉「跣足(はだし)の天使が舞う、コバルトブルーの空の下で」
【底本一覧】
【編者注解】

 

*編集&解説:野崎 泉
*デザイン:堀口 努(underson)


*2018年2月16日〜4月15日まで大阪の『あべのハルカス美術館』にて開催の、生誕120年東郷青児展 夢と現の女たち」において併設のミュージアムショップで先行販売しております。

*東京・西新宿の『東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館』のミュージアムショップでもお求めいただけます。

*今後、ささやかな展示やフェアを企画しております。

*最新情報はblog「古書渉猟日誌」で随時、お知らせしていきます。http://bbmania.exblog.jp/